大ヒット映画『ラストマイル』の感想を物流業界のベテラン社員が語る!※ネタバレなし
8月23日の公開からわずか3日間で観客動員数66万人、興行収入9.7億円を記録し、その後も動員数を伸ばし続けている大ヒット映画『ラストマイル』。
この映画は外資系大手ショッピングサイトの物流センターを舞台に、突如発生した連続爆破事件の行方を追う、サスペンスエンタテイメント作品。物流センターを題材にした映画は珍しく、ふーくんも興味津々。
今回は物流センターの内情を良く知るファイズのベテラン社員A氏に、この映画について色々語ってもらいました!なお、この記事はネタバレなし。まだ映画を観ていない方も安心して最後までご覧ください!
■目次
・映画『ラストマイル』のあらすじを簡単に紹介
・『ラストマイル』を観た率直な感想は?
・物流センターの描写はリアル?それともアンリアル?
・物流センターで働く人たちは、ブラックフライデーが怖い?
・この映画を通じて感じたこと、伝えたいことは?
映画の舞台は外資系大手ショッピングサイトの巨大な物流センター。物流業界最大のイベント、ブラックフライデーの前夜に配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは、日本中を恐怖に陥れる連続爆破事件へと発展していきます。
物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)とチームマネージャーの梨本孔(岡田将生)が未曾有の事態の収拾にあたるのだが――。
『ラストマイル』を観た率直な感想は?
A氏:面白かったですよ!連続爆破事件が発生するというスリリングな展開で映画として純粋に楽しめました。そして何より、物流センターの仕組みが丁寧に描写されていて、物流業界で働く人間からすると興味深いシーンが多かったですね。
爆発物を仕掛ける手口も「なるほど!」と唸るような方法でしたし、良く研究されていると思いました。ただ、事件のさなかでも期日通りに荷物を出荷するために、ひたすら稼働率を追いかけるところなど、ネガティブに捉えられそうな描写もあったので、物流業界が好きで働いている私としてはやや複雑な気持ちにもなりましたが(笑)。
映画で登場する物流センターは毎日700~800名のアルバイトスタッフが出勤してくる巨大な倉庫。アルバイトスタッフにはブルーの入館パスが渡され、空港の保安検査のように厳重な入館チェックを経て倉庫内に入っていくシーンが印象的。また、倉庫内ではロボットが縦横無尽に走行しながら、格納されている荷物を吊り上げて搬送する場面も描かれていました。実際の物流センターもあのような感じなのでしょうか?
A氏:使用されているマテハン(運搬などに使用する機器)に違いはありますが、全体的には実際の物流センターが、かなりリアルに再現されていたと思います。ただ、映画内では棚が自動で動くような最新設備が登場する一方で、昔ながらの手作業のシーンも描かれており、半オートメーション、半マニュアルな倉庫という印象です。最近の新しい物流センターは完全にオートメーション化されており、オートメーションと手作業が混在するような倉庫はあまり存在しません。また、映画内の物流センターは上階から下のフロアを見下ろせる吹き抜けになっていましたが、実際にはあんな設計の倉庫はないですね。
あと、「これは違うな~」と思ったのがエレナのアクセサリーです。劇中ではセンター長のエレナが指輪などのアクセサリーをたくさん着けた状態で倉庫内に入っていました。倉庫内はルールが厳しく、持ち込めるのはメガネ・ペン・メモ帳くらい。これは映画内でも同じようなことが言われていました。倉庫への入館時は手荷物検査も行われるので、あのような恰好で倉庫に入るのは現実ではないですね。ただ、入館チェックの厳しさや使われている入館パスはほぼ同じ。正社員は白、アルバイトスタッフは青、外部業者は緑など、実際の物流センターも立場ごとに入館パスの色がわかれています。
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物流センターで働く人たちは、ブラックフライデーが怖い?
ブラックフライデーは年に1度の大型セールイベント。この時期は注文が殺到し、出荷量が急増するため、映画の中では「ブラックフライデーが怖い」という社員のセリフが登場します。実際に物流センターで働く人たちにとって、ブラックフライデーは怖いと思うくらい、大変なものなのでしょうか?
A氏:怖いとまでは思いませんが、プレッシャーが大きいのは事実(笑)。ブラックフライデーの期間中は出荷量が約1.5倍にまで増え、アルバイトも大幅に増員されます。とてつもない量の荷物を期日通りに出荷しなくてはいけないので、現場を管理するスタッフの責任や重圧は相当なものです。ただ、劇中で描かれているような鬱々とした感じではなく、実際はお祭りのような雰囲気です!期間中は食堂のメニューが値引きになったり、無料になったり、物流センター全体でセールイベントを盛り上げています。
出荷量が増加するクリスマスシーズンも同じような感じで、サンタの恰好をしてお菓子を配ったり、クリスマスソングが流れたり、大変だけどセール期間ならではの面白さもありますよ!
A氏: 映画内では「カスタマー・セントリック(すべてはお客様のため)」を始めとする12の行動指針が物流センター内に掲示されていて、社員はその行動指針に則って仕事をしています。映画ではこの行動指針が問題提起の材料の一つとして描かれていますが、実際に物流センターで働く人たちも同じような行動指針に則って仕事をしています。
個人的に映画を観ていて最も興奮したのは、出荷が止まってしまうかもしれない、という危機的状況をエレナの機転によって回避するシーン。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、期日通りに荷物を届けるためにどうしたら良いか考え、創意工夫を凝らしながら問題を解決していくところは、物流現場で働く優秀な管理者の姿そのものでしたね。
また、この映画では物流センターから荷物を配送する運送会社、そしてその運送会社の各拠点から個人宅へと荷物を届ける個人事業主のドライバーも登場します。ちなみに、映画のタイトルになっている“ラストマイル”とは、最終拠点からエンドユーザーに荷物を届ける最後の区間のこと。期日通りにちゃんと荷物が届くのは、このようなドライバーの存在があってこそ。物流業界は物流センターで働く人だけでなく運送会社や個人ドライバーも、「待っている人のために何としてでも荷物を届けよう!」と、使命感を持って仕事をしている熱い人が本当に多いですよ。
物流業界に課題があるのは事実ですし、映画ではネガティブな部分にフォーカスが当たっています。でも、このような映画の題材になったのは、インターネットの進化などによって物流業界が注目される業界になったからこそ。それは私たちにとって喜ばしいことですし、知らないところですごい仕事をしている人たちがいるんだな、面白そうだなと、少しでも思ってもらえたら嬉しいですね。
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まとめ
劇中では物流が滞り、医薬品が届かず手術ができないと慌てふためく医療現場のシーンが少しだけ出てきましたが、物流業界は災害発生時も救援物資を被災地に届けるなど、如何なるときも止まることなく社会を支え続けています。
「物流が止まる=日々の豊かな生活が止まる」という重要性は、コロナ禍に体感した方も多いと思います。
ファイズグループも、エンドユーザー様にモノのみならず豊かな生活をお届けするために物流の各領域で日々奮闘しております!
この映画は全体を通して物流現場の過酷さも伝える描き方になっていますが、「必要としている人のもとへ必ず荷物を届ける」という使命感を持って仕事に取り組む人たちの姿に胸を打たれると思います。
ファイズでは物流センターの仕事をたくさん紹介しているので、この映画をきっかけに物流業界に興味を持った方はぜひファイズの仕事情報をチェックしてみてください!
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